2023年6月。
とある2.5次元作品に大激震が走りました。
それは、ヒプステの出演キャストが全員卒業するというもの。
ヒプステとは、ヒプノシスマイクというコンテンツの舞台化。いわゆる2.5次元舞台といわれるものです。
実は私は数年前からヒプノシスマイクに現在進行形でがっつりとハマりこんでいまして、いわゆる推しているコンテンツだったんですね。
ただし、ヒプマイに関するもの全てに手を出しているわけではなく、あくまでも本丸である原作CDを買い、時々開催されるライブへ行く、という楽しみ方をしていました。
あまり2.5作品には深入りしていないタイプのオタクなんです。
そんな私でも、出演キャストが同じタイミングで全員同時に卒業する、ということは聞いたことがありません。
そんな驚きの発表からわずか約3か月後の2023年9月、全キャストが出演する最後の公演が開催されました。
今日は、そんなヒプマイに深くハマりつつ、ヒプステとは少し距離を置いていた私ですら心から楽しむことができたBOP2023について語ります。
ヒプノシスマイク–Division Rap Battle-とはいったいなに?
ヒプステについて語る前に、ヒプマイ、すなわち『ヒプノシスマイク』とはなんぞや、というところから軽くご説明させてください。
ヒプノシスマイク–Division Rap Battle-とは、2017年9月に始動した、男性声優による音楽原作のラッププロジェクトです。
総勢18名のキャラクターたちが、ヒプノシスマイクという特殊なマイクを使い、ラップで戦うというストーリー。
……いやあの、ストーリーが頓珍漢で『なに言ってんの?』というものだというのは私たちファンも十分にわかっているので、そのへんは軽くスルーしてあげてください。
まぁよくわからんけど、男性声優が声をあてているキャラクターたちがラップを歌うのね?という程度の理解で大丈夫ですので。笑
そんなヒプノシスマイク、ファンの間ではヒプマイと略されているのです。
ヒプステは、ヒプノシスマイクのメディアミックスコンテンツの一つ
ヒプマイはプロジェクト始動からすでに6年ほどが経過しているのですが、原作であるCDのみならず、いろいろな形でメディアミックスされているコンテンツでもあります。
スマホアプリやアニメ化、コミカライズ化。そして今回のメインの話題である、舞台化。
ヒプステは、ヒプマイの世界を舞台で表現した、メディアミックスコンテンツの一つなんですね。
ヒプステが発表されたとき(2019年夏頃)のヒプノシスマイク界隈
ヒプマイの舞台化についてはじめて発表されたのは、2019年の夏でした。
はじめて全キャストが揃っての開催となったヒプマイ4thライブが大阪城ホールで開催され、その余韻もさめやらぬタイミングでの発表だったと思います。
この時期のヒプマイ界隈は、ヒプステだけでなく、様々な情報が怒涛の洪水のように次々と発表されていた時期でした。
あまりにも多い初出し情報の数々に、私もふくめ、ファンがとても混乱していたことを覚えています。
【炎上】ヒプマイ公式の性急と思える動きに、ついていけなかったファンは多かった
さきほどもちらりとお伝えした、2019年9月の大阪城ホールでの4thライブ(2日間)。
このライブの最後に今後の展開についての告知があったのですが、これまでの既存4ディビジョンに加え、新たにオオサカ・ナゴヤの2ディビジョン追加が唐突に発表されました。
確かこのときに、コミカライズ(漫画連載)のスタートについても発表されたと思います。正直、告知のタイミングは少し曖昧です。新ディビジョン追加があまりに衝撃だったので……
当時、これらの発表はけっこうな炎上を巻き起こしました。
既存4ディビジョン(12人いたため、ワンダースと言われていました)の声優さん以外が表現するヒプマイキャラへのアレルギーが爆発する形で、新ディビジョンの加入やコミカライズ、特にこのあとに遅れて発表されたヒプステの存在は、まさに大炎上していた記憶があります。
ヒプステに至っては、もろに声優さん以外の人が演じるわけですからね。生身の人間が演じるビジュアル付きで。
オオサカ、ナゴヤという新ディビジョンの追加発表
ナゴサカ加入発表は、もう荒れに荒れました。
これまで3回ほどライブをしてきて、4thではじめて12人がそろったライブが開催され、その記念すべきライブの最後にされた告知の内容が『違うキャラクターを追加します』というもの。
それはそうなります。
4thも含めたこれまでのライブチケットの競争率がものすごかったこともあり、ファンとしては『さあこれから12人の新曲ももっともっと増えて、次こそ私もライブに行きたい!』という気持ちが最高潮だったタイミングですから。
さらに、オオサカ・ナゴヤそれぞれのリーダーは一郎と左馬刻と因縁があるっぽい?(実際にめちゃくちゃあるキャラクターです)ということで、TDDというワンダースのリーダーたち4人のユニット人気が出てきていた時期とも重なり、拒否反応がすごかったです。
コミカライズスタートの発表
コミカライズも、声優さんが演じるドラマパート以外のもの、ある意味では準二次創作みたいな感じに受け止めてしまう人もいましたね。
原作であるはずのCDだけでストーリーが把握できなくなってしまうことについても、『なんのためのラッププロジェクトなの?』というような反応が多かったです。
そもそもこの時点で原作が少なすぎたので、どこをどうコミカライズする気?原作をまず進めてよ!って意味でも、あんまり歓迎はされていなかったですねぇ。
ヒプマイというコンテンツが炎上する土台が整い過ぎてた
そんなこんなで、この時期の怒涛の供給は、『ファンとしてはどれも全然求めていないものばっかりなんですけど……』と受け止められしまったんですね。
まあそもそも、当時のヒプマイは『男性声優ラッププロジェクト』だったんですよ。(今はシレッと音楽原作キャラクターラッププロジェクトに変えられてますが)
このコンテンツの根幹であると思われる”声優”が存在しない方向への拡大は、受け入れられないのも仕方がないと思うんですよね。
実際に私もそうでしたし。
これまでのヒプマイが消えてしまうんじゃないかって思えて、ナゴサカ加入も、コミカライズも舞台化も、当時はぶっちゃけ『嫌だなぁ』と思ったファンの一人です。
さらに、そんな中ヒプステでは、原作には登場しないオリジナルディビジョンが出演するという情報も公開されました。
荒れるなというほうが無理です。笑
ヒプステがここまで愛された理由
そんな逆風しかなかった当時のヒプステは、今となってはたくさんのファンに愛される作品となりました。
ナゴサカを含めた6ディビジョンだけでなく、ヒプステのみに登場するオリジナルディビジョン・キャラクターたちのライブが開催されるほどの人気となったんです。
なぜここまでのコンテンツとなったのか、少し考えてみました。
原作へのあふれるリスペクトがあった
私はヒプステは1作目のみ、しかも映画館で大千秋楽公演をライブビューイングで観劇しました。
そんな私が帰り道でまずしたことが、ヒプステで使われていたオリジナルのテーマ曲のダウンロード購入でした。笑
ヒプステでは公演ごとにテーマ曲が用意されているのですが、これがもう原作CDの曲を聞いてきた人間にとって、ものすごく気持ちのいい曲ばかりなんです。
原作CDで聞いたことのある歌詞がちらりと織り交ぜられていたり、これ知ってる!という部分で原作ファンを楽しませつつ、曲単体で聞いても、とってもかっこよくって!
原作へのリスペクトをものすごく感じる曲だったんですね。
このときのテーマ曲、『Gimme The Mic -Rule The Stage track.1-』を聞けただけでも、『あ、ヒプステは大丈夫だ』と思えるような、そんな曲でした。
(『Gimme The Mic -Rule The Stage track.1-』が収録されているCDはこちら!)
2次元から飛び出してきた!と感じる俳優陣の作りこみ、熱演
ヒプステのオープニングは、原作キャラクターたちの立ち絵の奥から俳優さんたちの演じるキャラクターたちが登場してくるという、かなり挑戦的な演出でした。
そんなちょっと心配にもなる演出を、見事に予想を上回って裏切ってくれたのが、俳優陣たちです。
いちばん最初に姿を現したのは、もちろん主人公である山田一郎です。そのイラストの奥から出てきたのは、寸分たがわぬ姿の、2.5次元の山田一郎だった。
驚くほどに原作キャラクターを忠実に再現していたんです。
山田一郎が、碧棺左馬刻が、他の全てヒプマイキャラクターたちが『ここ』にいる。実在している。
そう思わせてくれるキャラクターたちの登場は、とんでもない衝撃でした。
特に主人公である山田一郎を演じる高野渉くんの山田一郎っぷり(不思議な日本語)は、群を抜いていました。
マイクを握る左腕を絶対に下ろさない。イラストの山田一郎とまったく同じ姿勢で歌う姿に、私はとても感動したんです。
『Battle of Pride 2023』は私にとって人生最高の2.5次元でした!!
ここからはヒプマイにはしっかりハマっていたけど、ヒプステとは少し距離のあったオタクの語り。
どの曲もどのディビジョンもかっこいい!
ヒプステがここまで人気が出た理由の一因って、まず間違いなく『楽曲がどれもかっこよく、ハズレがない』ことだと思うんですよ。
それぞれのディビジョンごとの曲も、キャラクターたちのソロ曲も、キャスト全員で歌うテーマソングも、どれも本当にかっこいい!!!!!
ヒプステの音楽監督を務めていらっしゃるKEN THE 390さんはそもそもプロ中のプロのアーティストでありラッパーですし、声優さんが歌う原作のほうにも楽曲提供をしてくださっている方です。
そんな方が監修するのだから、まじで本当にハズレがない。
とりあえずあの、YouTubeにアップされている曲を聞いてみてください。
あぁかっこいい。これがBOP2023のオープニング曲なもんですから、いつもここから3時間近くノンストップで見続けてしまうんですよね……
白膠木簓推し、MCD推しにはたまらない演出が多すぎて……!
私の推しは、オオサカディビジョン・どついたれ本舗のリーダーである白膠木簓(ぬるでささら)です。
彼はどついたれ本舗のリーダーとなる前は、イケブクロで碧棺左馬刻とMad Comic Dialogue(マッドコミックダイアログ)というチームを組んでいました。
この二人は互いに信頼し、背中を預け合うような相棒となるのですが、ある陰謀によって憎み合うことになり、チームを解散させられてしまいます。
この最高にエモくて切なくて泣けてくる簓と左馬刻のエピソードを、はじめて舞台上で演じてくれたのが今回のBOP2023でした。
いやこれ本当にヤバかったです。
私は大阪公演は現地で、横浜公演は配信で見たのですが、現地では『まさかそこやってくれるの???!』というサプライズで大混乱しながらボロボロ泣くという、どうしようもない状態になりました。笑
配信では、現地ではあまりしっかりと見ることができなかったキャストさんの表情の演技もじっくりと見ることができ、またボロボロと泣く始末。
白膠木簓を演じる荒牧慶彦さん、左馬刻へ向けて、本当に本当に優しい表情をするんですよ……
『なんっっってカオするんですか…………!!!!!』はじめて配信を見たとき、号泣しましたよ。誇張でなく。
いいもん見せてもらいました。
荒巻さんに白膠木簓を演じてもらえて、それを見ることができて、私は本当に幸せでした。
2024年、新たなスタートをきったヒプステも応援しています
そんな愛にあふれたヒプステでしたが、これまでの既存キャストが全員卒業してしまい、2024年からはキャストを一新して再スタートをきりました。
もちろん私も観に行きました。実際に見てみないと批判もなにもできませんから。
そこには、いろいろと変わった部分はありながらも、根底には旧キャストたちが積み上げてきたヒプステと同じものがあったと思いました。
新しいキャストさんたちは比較的若い役者さんが多く、代表作といえるものがまだないような方たちが多いです。ハッキリ言うと、まだまだ未熟な役者さんが多い。
だからこそ、正直、旧キャストさんたちと比べると物足りなく感じる部分もたくさんありました。自分の推しであるキャラクターを演じる役者さんに対しては、特にそうなってしまうのも事実。
ただ、旧キャストさんとはまた違ったキャラクターの一面を見せてくれたことには、とても感激しました。
あぁ、私はまだまだヒプステというコンテンツを楽しく追いかけられそうだな。
彼らが見せてくれるヒプステの続きがみたい!!
そう思えたので、私は次からの公演にも足を運びます。
次の公演は10月。まずはチケットを得なければ!!配信もあるとは思うけど、現地で得られるものは全然違うからね!!!!!
そのときにはまた熱く語れたらいいなーと思っているので、よければまた遊びにきてやってくださいねー!
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